これまでのこと、
これからのこと。
2018年10月1日。柿原徹也の事務所「Zynchro」にKENNと金田アキが加わった。
彼らはいかにしてZynchroに集うことになったのか。
いまだから話せる、これまでのこと。
新生Zynchroとして描く、これからのこと。
KENNこれまでこの3人で一緒に仕事をしたことはないよね。
金田そうだね。プライベートでも3人で会ったことなかったし。
柿原そもそも俺も、KENNちゃんと金田に接点があることを知らなかったのよ。だからKENNちゃんに「実はもう一人役者が事務所に入るんだけど、金田アキって分かる?」と聞いたときに、めちゃくちゃ喜んでくれたのはビックリしたなぁ。
KENN実力派でいい人だってことも知っていたから嬉しくて! 人との出会いや繋がりって、波長が近い人を呼び合うんだろうね。
柿原結局、仲良くなるのに理屈って必要ないんだよ。俺は喋っていて「信用できる」と思うヤツとしか喋らないし、そういう人間は惹かれ合っていくものだと思うし。でも、集まった理由はあるよね。3人とも「自分を変えたい」と思っているから集まったし、もし何も変わらなくていいなら今まで通りで良かったはず。
KENNそれぞれの考え方も近いから「一緒にやりたい」と思ったし、そのうえでそれぞれが行動したから今の状況にあるんだと思う。
金田たとえるなら、これまでの第一章が完結して、「じゃあ第二章は何をやろう?」という人たちの集まりじゃないかな。「ずっとこれを続けていこう、維持していこう」じゃなくて、「次はこれをやろう!」という提案が出てくる人たち。私は今が第三章って感じ!
柿原いいね、そういうの! 何章なのか、何巻なのか、はたまた何話なのか。人によって濃さも長さも違うし。
KENN僕は第二章。新しくZynchroに入ってこれからワクワクすることがいっぱい待っているんだろうって、今すごく前向きな気持ちだな。
柿原KENNちゃんとは『ぺらぶ! a cappella love!?』(2011年)のドラマCD収録が初対面。20代半ばから後半の役者が集まっていた現場だったよね。
KENNそれまでにゲームなどで共演したことはあっても、実際に会ってガッツリ絡んだのはそれが初めてだったと思う。今でも印象に残っているのが、台詞を言い終って下がろうとしたら、ベルトの腰部分をクイって引っ張られたんですよ。「何だ!?」と思ったら、てっちゃんがいい笑顔で「まだ台詞一同の部分が残っているよ」と台本を指差して教えてくれて。
柿原わー、いいヤツじゃん! 覚えてないけど!!(笑)
金田きっと柿原さんにとっては無意識でやっている当たり前のことなんだろうね。
KENNこんなスマートに行動できるなんてすごい人だなって尊敬しました。僕のことは覚えてる?(笑)
柿原そりゃ鮮明に覚えてますよ~。当時はちょうど俺たちの世代がようやくメインを張れるようになってきた頃で、『ぺらぶ!』は活躍している同世代と芝居でぶつかり合える現場だったからすごく嬉しかったんだよね。その中でも唯一声優業界ではない分野から入ってきたのがKENNちゃん。周りにいる声優とは全く違うオーラを持っていたので、すごく印象的だったよ!
柿原金田と一緒にレギュラーをやったのは、金田が主人公だった『メタルファイト ベイブレード』(2009年~2012年)が初めてかな。
金田柿原さんの第一印象は「うるさい人だな」でした(笑) 「おはよーございます-!!」(モノマネ)って、ものすごく高い音で現場に入って来るんですよ~。
KENN「おはよ~ございます~」(モノマネ)って、低い音で来る日もあるよね(笑)
柿原それは現場を盛り上げるために敢えてやっているの!(笑) 現場では楽しくいたいじゃない。初主役の金田が色々とディレクションされているのも見ていたし。でも、その姿を見て、「コイツは心が強いな」って思ったな。
金田「言ってもらえている」ことは、ありがたいことだからね。まぁ、すぐ泣くんですけど(苦笑)
柿原俺が言うことじゃないけど、当時の金田は技術が全く無かったんだよね。でも、心があるなって感じた。それはKENNちゃんにも言えることで、声優業界で一から始めたわけではないからKENNちゃんはKENNちゃんの声で喋るんだけど、そこに心があって。声優を始めたからには、周りに食いついていかなきゃ、もっともっと芝居を磨かなきゃという心が伝わってきたんだよね。『ベイブレード』で、技術がおぼつかないけど心とエネルギーでぶつかっている金田をずっと見ていて、「やっぱり主人公はこういう人がなるんだな」と思ったのは今でも覚えているな。お世辞でもなく、何年も前から「日本で一番熱い少年ができる人」だと思ってるもん。
金田ずっとそう言ってくれているのに、「そんなことないよ」と言い続けてごめんなさい(苦笑) その言葉を素直に受け止められるようになりたい!
金田ここは『獣旋バトル モンスーノ』(2012年~2013年)だね。
KENN僕が主役をやらせていただいて、金田さんが敵側の大ボス役で。
金田そういう役をやったことがないし、出来なさすぎて……。毎度現場に行くのが怖かったなぁ(苦笑)
KENNいやいや、上手かったじゃん! ものすごく技術もあって気遣いも出来る人で、「この人すげーな!」って僕は思ってたよ。
金田KENNさんがやってた主人公は、なかなかヤンチャな青年で。誠実さと生意気さが共存するところがすごくいいなって思って見ていました。
KENNたくさん勉強もさせていただいた現場で、すごく濃い1年間だったなぁ。飲みに行く機会も多い現場だったし。何がきっかけで距離が縮まったんだっけ?
金田みんなでご飯に行ったときにWi-Fiを貸してもらった!
KENNそこ!? もっと他にあるでしょ!?(笑)
柿原KENNちゃんと俺だって、ベルトがきっかけじゃん(笑)
KENN確かに(笑) でも、全然記憶にない。本当に俺? 違う人じゃない?
金田いやいや、こんなイケメンはなかなか他にいないから忘れないよ!
KENNあ、ここはフォントのサイズ大きくしといてください(笑)
金田実は柿原さんに飲み会に誘ってもらうまで、番組とは関係ない飲み会にはほぼ参加しない、打ち上げや打ち入りでも「どうやってその時間を切りぬけるか」みたいな生き方をしていたんです。でも、柿原さんの誘いで参加するようになって、仕事以外でも人と交流することができるようになって。
KENN意外! 現場でも明るいし、いろいろな人と話している印象があるから、そういう場所にも顔を出しているイメージが勝手にあった!
金田その場を楽しくするために、「明るくて元気な楽しいヤツです!」みたいに振る舞っていたから(苦笑) でも、それって疲れるし、「役に立ってるかな?大丈夫かな?」ってビクビクして全然楽しくもなくて。そんな私に「いいんだよ、楽しく話せば」と言ってくれたのが柿原さん。
柿原金田は才能を持っているのに自信がないし、ポジティブな顔しているのにネガティブだよね。いろいろな人と会うことで、自分の世界観も開けるものがあると俺は思っているので、「非常にもったいない!」と言ったりしたかな。
金田そうやって自分だけの狭い世界に閉じこもっていたのを、引っ張りだしてくれたことは今でも感謝しています!
KENNてっちゃんとは『ぺらぶ!』のあと、『サンダーバード ARE GO』(2015年~)でようやく一緒にやれたって感じだよね。
柿原そこからよく飲みにも行くようになった気がする。今だから言えるけど、去年のKENNちゃんの誕生日に旅行したんだよね。「美味しい魚を食べたい」と言うから、泊まりで遊びに行こうって予定を立てて。
KENN誕生日当日は仕事だったんだけど、現場まで車で迎えに来てくれて、目隠しされてそのまま連れていかれてさ。それで到着したと思ったら空港で!
金田なんかの番組みたい(笑)
KENN「どこ行くの?」と聞いたら、「決まってんじゃん、北海道だよ」と(笑)
柿原最終の飛行機に間に合うか、すごくハラハラしたな~。
KENNで、北海道に着いたら行きつけのジンギスカンのお店に連れて行かれ……。
金田え!? 魚は⁉(笑)
柿原メインは翌日に決まってんじゃん!(笑) そのときも思ったけど、結局付き合ってきた時間って関係ないんだよね。仲良くなるためには1日あれば十分だっていうのが、分かりやすく形になったのがこのサプライズだったなって思う。
柿原Zynchroはドイツ語でシンクロするという意味だけど、本来なら「Z」ではなく「Synchro」と書くもの。でも、「Z」はアルファベットの最後の言葉で永遠という意味もあるし、マネージャーと二人三脚で始めたという意味での「2」にも見えるこの字を使いたかったんです。それに最後のアルファベットだからこそ、途中で人数が増えてもいいなとも思っていたし。「俺たち二人でどこまで出来るか」を試そうとスタートしてから5年、見える景色が変わってきたし、二人でやれることはやりきった! KENNちゃんと金田と一緒に新しいスタートを切ることで、次に見える景色が必ずあると思っています。
KENNきっと新たな挑戦ができるだろうし、てっちゃんが言った通り、違う景色が見えると思う!
金田みんなで「見に行く」というより、その景色を「作る」って感じだよね。
柿原その景色を誰かに見せる……なんていう偽善はいらないので、まずは俺たちが見えるように頑張りたいね。でも、それが本当にいい景色だったら、皆さんにもお裾分けできるような会社になりたいなと思う。そうして「Zynchroって面白いじゃん!」と、もっともっとZynchroと一緒にシンクロしたいと思っていただければ、俺らの意味にも繋がるんじゃないかな。
KENNそして最初の目標にして最大の目標は……社員旅行!(笑)
柿原これのためにやってきたと言っても過言ではない!!(笑)
金田この前、柿原さんが重苦しい空気で「今から重要な話をする」と言い出して、何かと思ったら「社員旅行はどこに行きたい?」だったもんね(笑)
柿原まぁ社員旅行はさておき、「アイツらいつも楽しそうだな」と思っていただけたら嬉しいね。これからのZynchroをよろしくお願いします!